デスクトップ仮想化 (VDI) - 日本に適した製品は? (4)
(この記事は私が実案件を通して感じた VDI の実情ですが、個人的主観も含みます)
一応、今回でこのシリーズのラストの予定です。
ThinApp や XenApp は全てのアプリには適用できない
View Composer や PVS (Private) はイメージを一元管理するため、ユーザーはアプリを追加インストールできません。
第2回・第3回 の記事で述べたとおり、インストールしても決まったタイミングでCドライブごと消えてしまいます。
このため、VMware や Citrix はアプリケーション仮想化 (ThinApp, App-V, XenApp Streamed Apps) や SBC (XenApp Hosted Apps) の利用を促したりしますが、全てのアプリを ThinApp や XenApp にしているお客様を見かけたことはありません。また、現実的に不可能と思います。
理由の一つは、この技術を利用してアプリをカプセル化すると、他のアプリと連携ができなくなるためです。
簡単な例として、
この理由は単純で、「カプセル化したアプリはインストール不要」 に起因します。
インストールしないということは管理者にとってメリットになるかもしれません。しかし、同時に レジストリにインストール情報や OLE 情報が存在しない ということでもあり、連携元アプリでは 『連携先アプリが存在しません』 というエラーになってしまいます。
上記は一番分かりやすい例で、このほかにも様々な技術理由からアプリケーション仮想化や SBC は動かないといったケースが多々あります。ですので、すべてのアプリを ThinApp 化 / XenApp 化 して使おうという VMware / Citrix のメッセージはちょっと強引だと思うわけです。つまり、View Composer や DenDesktop PVS による運用は、金融系のお客様のような 「ユーザーによる任意のアプリ利用は禁止」 などとしていない限り、導入しても破綻するだろうと感じています。
アプリケーション仮想化技術は救済策として
すべてのアプリケーションをカプセル化してしまう運用は現実的に厳しいわけですが、利用シーンを選べばアプリケーション仮想化技術は非常に有効です。
例えば、VMware ThinApp の最新バージョン 4.6 では、これまで不可能とされていた Internet Explorer (IE) のカプセリングに成功しました。
Windows 7 への移行にあたり、一番問題なのは IE が 8 であることと言われています。
IE6 の息は長く、重ねてこの時期に Web アプリブームが到来したため、既存の多くの Web アプリが IE6 に合わせて作られてきました。
Microsoft は IE6 までは独自規格をどんどん取り込む方針できていたのですが、IE7 からは方針を大幅に変えて標準規格への準拠を目指したため、IE6 で正常に描画できていたものが IE7 や IE8 ではまともに描画できないといったトラブルが本当に多いのです。
一般的な Web サイトでは描画にそれほど影響はなくても、Javascript や Ajax, CSS などを多用した Web アプリケーションは互換性問題が頻発します。
ここで、最新の ThinApp 4.6 を使うと、Windows 7 上で IE6 が動作します。Win7 上でネイティブの IE8 と、カプセル化した IE6 を同時に立ち上げることができるのです。また、「JRE 1.4 の IE6」と「JRE 5.0 の IE6」なども併用可能です。
このように、ThinApp などのアプリケーション仮想化技術は、日常的に使うのではなく、Win7 上で動かないアプリの救済策として活用するのが一番効果的と思います。