仮想化でプリセールスしてるSEの一日

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VMware View の PCoIP プロトコルを Citrix ICA 相当にする設定方法 (1)

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VDI の提案をしていると、
VMware View はシンプルな管理で機能も十分」、
だけど「Citrix XenDesktop の ICA プロトコルは捨てがたい」と仰るお客様は多いです。

Citrix ICA プロトコルの良さは狭帯域なのですが、
(と言っても こちらの記事 で書いたとおり 64Kbps とかは無理です...)
VMware View の PCoIP プロトコルは、満を持して登場した後発なのに ICA に及ばないのでしょうか...?


ワークステーション用途に開発された PCoIP


PCoIP プロトコルVMware 社が開発したものではありません。
View にバンドルされている ThinPrint と同様に、カナダの Teradici 社から OEM 供給を受けているものになります。


Teradici 社は、もともと CAD やレントゲン画像といった業務用の高精細アプリケーションの遠隔利用のために PCoIP を開発しました。

このため、既定ではワークステーションに最適化したチューニングであることを知っておく必要があります。


PC (OA) 用途に開発された Citrix ICA

これに対して、Citrix 社の ICA プロトコルは10年前の MetaFrame には既に搭載されていました。つまり、完全に PC (OA) 用途として生まれたわけです。今から10年前はまだまだ ISDN が中心だったこともあり、64kbps でも操作感を維持する必要がありました。ここで Citrix 社が研究したのは「狭帯域では画質を落としてレスポンスを維持する」という発想です。


この2つのプロトコルの違いは次の比較 画像を見てください。PCoIP に比べて、
右の ICA は JPEG 画像のように "もや" が掛かっていることが分かるでしょう。



これは、1秒間に流せるデータ量が限られるなか、ICA は画質を劣化させることで操作感を維持するためです。
これに対し、PCoIP は既定の設定では画質は一切落としません。これは、画質の落としてしまうとレントゲンの "見逃し" などを起こしてしまうため「いつでも高品質を維持」というのが PCoIP の由来に基づく既定の設定なのです。


PCoIP を PC (OA) 用途で使うには設定が必要

ここまでのとおり、PCoIP はワークステーション業務に耐えられるよう、高品位に寄ったチューニングが施されています。したがって、PCoIP を VDI のような一般 OA 用途で使うには、これをもっと ICA 寄りな設定にしなければなりません。


例えば、下記項目。出力音声の圧縮ビットレートの設定です。


既定の音声ビットレートが 500Kbps になってますが、iPod や MP3 プレーヤーで音楽を聴くとき、ビットレートいくつに設定されますか??
PC の効果音程度であれば、50K〜80Kbps で十分です。場合によっては「会社の PC にスピーカー無いし、音声は不要」といった会社も多くあります。


このように、PCoIP はワークステーション用途という成り立ち上、デフォルト設定では無駄に高品質なのです。
しかしながら、ちょっと設定を変えるだけで Citrix ICA 並みの品質・消費帯域にできます。VMware が既定値を下げてくれれば良いのですが、現バージョンではまだのようですので、手動で設定変更してあげましょう。

変更箇所は次回説明します。