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Microsoft Lync VDI 2013 Plug-in で VDI とビデオ会議の両立 - (3) Tips 編

(1) 概要編 (2) 設定編 (3) Tips 編


前回 の続きです。

セットアップは非常に簡単なのですが、
ずっと「Lync はローカルのオーディオ デバイスとビデオ デバイスを使おうとしています。」のままになり、緑マークが付かないといった状況になりがちです。
環境によっては少しコツが要りますので、この辺りについて書いていきます。



VDI 製品共通のポイント

Lync VDI Plug-in を導入したアクセス端末は 自力で Lync Server を発見し、
Lync Server と 5061/tcp の直接通信が必要であることに注意しましょう。

  • ファイアウォールの確認
  • SSL 証明書がインストールされ、機能しているかどうか?
  • Lync Server を自動検出できるネットワーク環境かどうか?
    • Lync のフロントエンドサーバーや DNS をきちんと設定している場合は、autodiscover で Lync Server を検出できますが、L3 経由や AD に加入していない場合など、自動検出できない場合は Lync Server のアドレスを手動で記述しておく必要があります。
    • この場合、アクセス端末側に以下のレジストリを追加してください。
[HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Office\15.0\Lync] 
"ConfigurationMode"=dword:00000001
"ServerAddressInternal"=lyncserver.example.local 
"ServerAddressExternal"=lync.example.local 

Microsoft VDI / Remote Desktop でのポイント

Lync VDI Plug-in は USB Redirection 技術を使いません。
以前 注記 した通り、RDP7/8 の USB Redirection 技術は機器制約がかなり厳しく、Web カメラも既定で NG ですが、リダイレクトしないので大丈夫です。
あわせて下記資料もご参照ください。

Microsoft TechNet - Lync VDI プラグインの前提条件
http://technet.microsoft.com/ja-JP/library/jj205304.aspx

VMware Horizon View でのポイント

RDP 接続であれば特別なことはありませんが、PCoIP で利用する場合は転送チャネルのパーティショニングが有効になっている必要があるそうです。
詳しくは下記資料をご参照ください。

VMware Technical Resource Center -
Horizon View 5.2 and Microsoft Lync 2013: Installation and Configuration
http://www.vmware.com/resources/techresources/10372

VMware KB 2045726 -
Troubleshooting and Frequently Asked Questions for VMware View 5.2 and Microsoft Lync 2013 http://kb.vmware.com/kb/2045726

その他の注意事項

Lync VDI Plug-in を利用する場合、音声や動画のレコーディングはできません。
これは 前々回 にも解説しましたが、ビデオ会議はハメコミ合成になるためです。

仮想デスクトップ上の Lync Client からは枠だけが画面転送されます。
これに別途 P2P でアクセス端末側に直接送られた動画データをマージしますので、仮想デスクトップ側で録画を有効にしても、下記のスクリーンショットのように何も映らないのです。



また、アクセス端末に FATPC や Windows Thin PC を利用するのであれば大丈夫ですが、シンクライアント専用機を用いる場合はスペック、特に CPU パワーにご注意ください。

動画や音声はアクセス端末側でレンダリングしますので、かなりの CPU パワーを消費します。AMD G-T56N (Fusion APU, Dual-Core) を搭載したシンクライアント専用機の場合、ビデオ会議中は下記のような状態になりました。



Citrix XenDesktop / XenApp はサポートしない?

結論から言うと、現時点では XenDesktop などの Citrix 社製品で MS Lync VDI Plug-in を利用することはできません。
Citrix はこれまで、ヘアピン現象を起こしながらも動画や音声データを高圧縮する「Citrix HDX RealTime」で Lync の利用を独自サポートしてきました(詳細)。


そして、XenDesktop 5.6 FP1 あたりからは「Citrix HDX Optimization Pack for Microsoft Lync」と、今回の MS Lync VDI Plug-in *1 に近い実装もしたのですが、以下の TechNet 記事のとおり Microsoft 自身が “Versus” という言葉を使った上で「サポートしない」と表明しています。

This solution was developed and tested by Citrix, not Microsoft.
Naturally, it is supported by Citrix and not Microsoft.

http://blogs.technet.com/b/nexthop/archive/2012/12/21/support-for-lync-2013-dvc-implementation-vs-the-citrix-hdx-optimization-pack-for-microsoft-lync.aspx


但し、そんな Citrix 社も今後は MS 方式に変更するそうで、
4月に XenApp 向けの Tech Preview 版をベータ公開したそうです。

The Citrix Blogs
Tech Preview of XenApp support for the Lync 2013 VDI Plug-in
http://blogs.citrix.com/2013/04/05/tech-preview-of-xenapp-support-for-the-lync-2013-vdi-plug-in/

*1:Direct Virtual Channel 技術を使うため「DVC APIs」と呼ばれることもあります。