仮想化でプリセールスしてるSEの一日

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VDI と Microsoft VDA ライセンス - (7) Windows Server で VDI その2

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前回 のつづきです。

ライセンスコストを負担し続けなければならない VDA に対し、何年使っても 22,000 円の買い切り型で済む、Windows Server を一人一台占有する VDI。
夢のようなソリューションにも聞こえますが、完璧ではありません。
良いことだけでなく悪いことにも目を向ける必要があります。

ユーザーアプリケーションの互換性

ご存じのとおり、Windows 7Windows Server 2008 R2 は非常に高いアプリケーション互換があります。稀に動かないアプリもありますが、SBC(RDS や XenApp、XenApp + AIE)に比べれば、ほぼすべてのアプリが問題なく動きます。*1


手強いのは「サポート」「ライセンス」

SBC で完全シンクライアント化を行った企業に聞いてみると苦労が分かりますが、Windows Server OS 上での利用は、OS 非依存にもかかわらず問合せを受け付けてもらえないケースが多々あります。インストーラーで弾かれてしまうこともあるでしょう。何より、障害やトラブルの際にコール窓口に「逃げ道」を与えてしまうのはユーザーにとって非常に不利です。


ライセンスについては、「アンチウィルス」「バックアップ」などのツール系製品の価格表を見れば一目瞭然。Windows 7 などのデスクトップ OS に対応した "Client Edition" と、Windows Server OS に対応した "Server Edition" では、価格が1桁違うことも多々あります。

VDI ソフトウェアの対応

次に気にしなければいけないのは VDI ソフトウェア側の対応。

  • Windows Server OS 上で VDI エージェントの利用がサポートされているか?
  • 対象を「仮想マシン」として正しく認識し、適切に処理してくれるか?


特に重要なのは後者です。仮想マシンをシャットダウンしていた場合、ブローカーからきちんとパワーオン命令を発行してくれるかどうかを確認しましょう。管理者が仮想マシンの電源操作を一台一台請け負っているようでは、運用が回りません。

現時点でこの2つを満たしている VDI ソフトウェアとして、Windows Server 2012 以降の Microsoft VDI などが挙げられますが、ここ最近各社も追随してきました。
 

VMware Horizon View は最新の バージョン 5.3 より対応。

VMware KB 2057605 :
Using Windows Server 2008 R2 as a desktop operating system in Horizon View
http://kb.vmware.com/kb/2057605

Citrix XenDesktop も最新の バージョン 7 で対応したそうです*2

Citrix eDocs - XenDesktop 7: サーバー仮想デスクトップインフラストラクチャ
http://support.citrix.com/proddocs/topic/xendesktop-7/nl/ja/cds-servervdi.html?locale=ja

実は Amazon WorkSpaces もこの方式を採用

聞いた話では、先月発表された AWS の DaaS サービス Amazon WorkSpaces もこの方式を採用したそうです。
クラウド事業者が Server OS を採用するのには別の理由*3 があるのですが、DaaS の場合はアンチウィルスやバックアップはインフラの一環として実装されており、ユーザーが別途購入・負担するのはレアケース。
そういった意味では親和性は比較的高いと言えますし、世界最大手の AWS がこの方式を採用したとなれば、アプリベンダーのサポート改善も期待できます。

Amazon、新しいバーチャルデスクトップサービス、WorkSpacesをスタート
http://jp.techcrunch.com/2013/11/14/20131113amazon-launches-workspaces-a-virtual-desktop-service-on-aws/

I sent Amazon 50 questions about their new WorkSpaces DaaS product
http://www.brianmadden.com/blogs/brianmadden/archive/2013/11/26/i-sent-amazon-50-questions-about-their-new-workspaces-daas-product-here-are-the-answers-to-every-single-one.aspx

VDI 導入企業は、高価な VDA を本当に契約しているの??

ここまで Windows Server OS を利用した VDI を紹介しました。

VDI の記事もいつも好評なのですが、
そのアクセス数の根底には「VDA は高い」という認識によるものだと思います。
しかし、ボリュームライセンスである VDA は Microsoft との取引規模に応じて価格変動します。大手企業にもなれば一般に知られていない特別メニューもあったり。


「VDA が高い」と感じるようであれば、詳しそうな業者に相談してみましょう。
VDI の見積・直販提案を多く経験している営業・プリセールスであれば、正攻法で VDA の価格を劇的に下げる "何か" を色々知っているかも。。。




本ブログは vExperts Blog Advent Calendar 2013 に参加しています。
明日 12/5 は アプリ仮想化奉行 さんです。

*1:「ほぼ」であって「すべて」とは言い切れません。VDI と違い十分な検証が必要です。

*2:2013.12.05 追記。thanks to @demojisan

*3:Microsoft ライセンスは「物理」に紐づくものであり、さらに VDA は SPLA にラインナップされていないため