仮想化でプリセールスしてるSEの一日

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Windows Server 2016 - Switch Embedded Teaming の構築手順 (2)

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間が空いてしまいましたが、
Windows Server 2016 の新機能「Switch Embedded Teaming」(SET)が本番環境に適用していくための考察のつづきです。
前回は こちら

ダウンリンクポートのアサイ

SET 対応の仮想スイッチを作成し、アップリンクポート、つまり物理 NICアサインまでを行いました。次はダウンリンクポート、つまりホストやゲスト向けのポートをアサインしていきます。


現在は次のような状態ですので、、、


このようにダウンリンクポートを増やしていく感じです。


ダウンリンクポートの追加:
Add-VMNetworkAdapter     -ManagementOS -Name "<識別名>" -SwitchName "<仮想スイッチ名>"
ダウンリンクポートの切断:
Remove-VMNetworkAdapter  -ManagementOS -Name "<識別名>"
ダウンリンクポートにタグを付ける:
Set-VMNetworkAdapterVlan -ManagementOS -VMNetworkAdapterName "<識別名>" -Access -VlanId <VLAN ID>
ダウンリンクポートのタグを外す:
Set-VMNetworkAdapterVlan -ManagementOS -VMNetworkAdapterName "<識別名>" -Untagged
ダウンリンクポートのタグ付け状況の確認:
Get-VMNetworkAdapterVlan -ManagementOS

※ それぞれ -ManagementOS を付けることでホストに接続します。代わりに -VMName "<仮想マシン名>" とすると仮想マシンに接続しますが、仮想マシンへのアサインはオペミスを防ぐために PowerShell より Hyper-V Manager がお勧めです。




GUIHyper-V Manager)ではホストに対して複数のポートをアサインできないので PowerShell が必要です。設定すると GUI はグレーアウトします。


ゲスト(仮想マシン)への VLAN 設定は仮想スイッチではなく、ゲスト側の設定で行います。ここは VMware ユーザーがいつも「?」になるところです。


チーミングモードと分散アルゴリズムの設定

さて、チーミングモード分散アルゴリズム はどうすれば良いでしょう?


LBFO では次のようなパラメータがありました。


現状の設定は Get-VMSwitchTeam で確認できます。


チーミングモード

TeamingMode は「SwitchIndependent(スイッチに依存しない)」の一択です。文字どおりスイッチに非依存ですので、Link Aggregation(LAG)は組めません。もちろん LACP もダメです。
ここが従来までの LBFO を併用した方法との、唯一のデメリットかと思います。

分散アルゴリズム

LoadBalancingAlgorithm は、基本的にデフォルトの「Dynamic(動的)」で問題ありません。しかし、SET と同じく Windows Server 2016 の SDN の新機能である Packet Direct(PD)を使う場合はHyper-V Port」にする必要があります。

Packet Direct

Packet Direct は、次のような対応 NIC を搭載している場合のみ利用できる、Hyper-V ネットワークの新機能です。*1

仮想スイッチを作成(New-VMSwitch)する際に -EnablePacketDirect $true を指定し、その後Windows Azure VFP Switch Extension」を有効にすることで利用できます。機会があれば今回のように手順や性能結果を共有したいと思います。

NIC パラメーターの調整

上記スクリーンショットのとおり、昨今の Windows ネットワークは Software-Defined と言えどハードウェアの力をどんどん借りるようになっています。
しかしながら、一部にはアクロバティックな機能もありますので、SET 環境では利用できないものがあります。そのような機能はネットワークの安定通信のためにも明示的に無効にしましょう。

SET 環境で利用できる Windows のネットワーク機能
  • DCB
  • VxLAN, NVGRE
  • SDN QoS
  • RDMA (SMB Direct)
  • Transmit-side Checksum offloads (IPv4, IPv6, TCP)
  • Receive-side Checksum offloads (IPv4, IPv6, TCP)
  • VMQ
  • RSS
SET 環境で利用できない Windows のネットワーク機能
  • 802.1X authentication
  • IPsec Task Offload (IPsecTO)
  • TCP Chimney Offload
  • Host QoS, Virtual Machine QoS (VM-QoS)
  • SR-IOV
  • Receive side coalescing (RSC)
  • Receive side scaling (RSS)


少し情報が古いですが こちら も参照ください。