仮想化でプリセールスしてるSEの一日

VMware から Azure まで、インフラや仮想化の最新情報をベンダー色をできるだけ抑えて綴っていきます

Dell の FlexMem Bridge テクノロジ

実は Dell も、IBM の eX5/MAX5 に似たメモリスロット拡張技術を持っていました。


しかし、残念なことにこちらも IBM と同様で "MPアーキテクチャ" がベースになっています。

Intel の現行 "Nehalem" アーキテクチャは NUMA 設計のアーキテクチャなので、各CPUにメモリが直結でぶら下がっているため、1CPU あたりのメモリスロットはそれほど多くありません。
Dell FlexMem Bridge はここに注目し、4ソケットサーバーのマザーボードをそのまま使い、4つのうち2つのソケットにCPUのダミー (FlexMem Bridge) を入れることで、本来入っていないCPUのメモリを使おうという技術です。


ダミーのCPUを入れるというのは、とても開発に苦労したと思います。
ただ、残念なことにこちらも 1.73GHz/Quad-Core で 25万円〜 という、かなり高価な Xeon 6500/7500 が必要になります。現実的には、VDI は最低でも 2GHz 以上のCPUであった方が良いので、CPU 1個あたり 50万円〜 と見た方が正しいでしょう。


【参考】 Intel Xeon 6500/7500 プロセッサーの価格 (IBM, 2010年7月現在)
Model Core Clock Cache TDP Price
Intel Xeon Processor X756082.26 GHz24 MB130 W\ 1,100,000
Intel Xeon Processor L755581.86 GHz24 MB 95 W\ 950,000
Intel Xeon Processor X755082.00 GHz18 MB130 W\ 810,000
Intel Xeon Processor L754561.86 GHz18 MB 95 W\ 630,000
Intel Xeon Processor E754062.00 GHz18 MB105 W\ 590,000
Intel Xeon Processor E753061.86 GHz12 MB105 W\ 420,000
Intel Xeon Processor E752041.86 GHz18 MB 95 W\ 260,000
Intel Xeon Processor E651041.73 GHz12 MB105 W\ 230,000
Intel Xeon Processor X655082.00 GHz18 MB130 W\ 750,000
Intel Xeon Processor E654062.00 GHz18 MB105 W\ 520,000
Intel Xeon Processor X754262.66 GHz12 MB130 W\ 600,000

これに対し、DP(2ソケット)プロセッサの場合、2GHz/Quad-Core なら 4万円 で買えてしまいます。つまり、2CPU 構成で 40万 以上の差がついてしまうんです。更に MP はマザーボード等の筺体自体も高い。。。


では何故、IBMDell も安価な DP ではなく、高価な MPアーキテクチャがベースなのか? と思って調べてみましたが、やはり DP の場合はメモリ実装数に限りがあるようです。
Intel の Nehalem-EP(Xeon 5500/5600 シリーズ)では、CPU 1個あたり 9スロット(=3スロット×3チャネル)が最大。つまり、DP の場合は 18スロットが最大ということ。

繰り返しになりますが レガシーPC が競合である VDI は安く組めることが最重要ポイント です。非常に残念ですが、サーバーベンダーの開発チームが更に頑張って DP アーキテクチャの最大数を超えるメモリ搭載技術を開発するまでは、普通に 18 DIMMs 載せられるサーバーを選ぶことが現実的なベストと言えそうです。(技術を追っている人間としては本当に残念なのですが...)


(追記)どんな用途で利用されるか分かりませんが、海外では IBM eX5/MAX5 や Dell FlexMem は結構注目を浴びているようで、比較情報を作成されてる方もいらっしゃいます。
http://bladesmadesimple.com/2010/05/prize-fight-ibm-max5-vs-dell-flexmem-bridge/