最近のファイルサーバーや NAS の性能 - (2) Windows Server 2012
(1) プロトコルと CPU の進化
(2) Windows Server 2012
Windows Server 2012 において、
「ストレージ」は Hyper-V の次に大きく機能強化されていますが、
今回のテーマである「ファイルサーバー」と「性能」に関係するのは次の3点。
- SMB 3.0(RDMA 対応を含む)
- データ重複除去
- Offload Data Transfer (ODX)
1. SMB 3.0
SMB 3.0 は、大きく性能向上した SMB 2.1 に様々な機能を追加したものです。
今後ファイルサーバーを調達するなら SMB 3.0 にすべきですが、通信する双方が Windows Server 2012 か Windows 8 でないとネゴシエーションしないため、実際に恩恵を受けるのは少し先になるかもしれません。
Microsoft KB 2709568:
Windows Server 2012 ファイル サーバーに SMB 3.0 の新機能
http://support.microsoft.com/kb/2709568/ja
Client / Server | Windows 8 Server 2012 |
Windows 7 Server 2008 R2 |
Windows Vista Server 2008 |
Windows XP 2003 以前 |
---|---|---|---|---|
Windows 8 Server 2012 |
SMB 3.0 | SMB 2.1 | SMB 2.0 | SMB 1.0 |
Windows 7 Server 2008 R2 |
SMB 2.1 | SMB 2.1 | SMB 2.0 | SMB 1.0 |
Windows Vista Server 2008 |
SMB 2.0 | SMB 2.0 | SMB 2.0 | SMB 1.0 |
Windows XP 2003 以前 |
SMB 1.0 | SMB 1.0 | SMB 1.0 | SMB 1.0 |
ちなみに、Infiniband RDMA を利用する「SMB Direct」を用いると 56Gbps という帯域と RDMA のレイテンシで性能は圧倒的になり、CIFS かつリモートながらローカルと同等の性能を発揮します。SMB マルチホームなど設計は少し玄人向けですが、ポート単価は FC や iSCSI より安く、ちょっと "チート" な技術です。
2. データ重複除去
Windows Server 2012 の NTFS には「ブロックベース重複排除」、いわゆるデデュープが搭載されています。
気になる「どのくらい容量削減できるか?」については、文書ファイルサーバー用途で概ね 50% というサンプルデータもありますが、WS2012 のデデュープエンジンそのものを使った簡易計算ツール (DDPEval.exe) があります。
こちらを使って何%くらい削減されそうか、実コンテンツを使った実際にテストしてみると良いと思います。2008R2 やネットワーク越しでも採取できるそうです。
ISO イメージ置き場で DDPEval.exe を試した結果*1
容量効率が上がるのは良いとして、今回のテーマである "性能"、つまり「重複除去されたファイルは、性能のロス(オーバーヘッド)がどれくらいか?」ですが、ESG Lab のレポートのとおり、意外にも性能劣化はほとんど起こらないようです。
3. Offload Data Transfer (ODX)
Offload Data Transfer (ODX) は、VMware vSphere 5.0 以降の VAAI にも採用されている、いわゆる「T10 XCOPY」です。
Windows Server 2012 では、エクスプローラーを使った通常のコピーでもこれが働くらしいのですが、こちらもストレージベンダー御用達の ESG Lab からレポートが出ています。(1時間掛かったコピーが 10 分以内で完了)
今回引用させていただいた資料は下記のとおりです。
Windows Server 2012 のストレージ強化とエンタープライズへの活用
http://download.microsoft.com/download/C/F/2/CF2F9D51-5D9E-45FE-B134-D0783220DCE8/Session4_Ogawa.pdf
*1:2013.02.01 デデュープテスト結果を追加