仮想化でプリセールスしてるSEの一日

VMware から Azure まで、インフラや仮想化の最新情報をベンダー色をできるだけ抑えて綴っていきます

Microsoft Lync VDI 2013 Plug-in で VDI とビデオ会議の両立 - (1) 概要編

(1) 概要編 (2) 設定編 (3) Tips 編


MS 高添さんのブログでも記事にしていただいた
とおり、今日からの Interop に出展するにあたって VDI と Lync 両立をするデモ環境を構築しました。

環境によっては設定のコツが要りますが、完成してみると非常に出来の良いソリューションに感じたので3回*1 に分けて記事にしたいと思います。


シンクライアントと UC ソリューションを両立する??

「ワークプレイス」の視点で次期 PC 環境を検討する場合、
管理者側は VDI といったシンクライアントを希望することが多く、ユーザー側は Microsoft Lync などの ユニファイド・コミュニケーション (UC) 製品の希望するケースが傾向があります。

しかし、従来は VDI のようなシンクライアントソリューションで、
音声電話やビデオ会議といった UC 製品を利用するのは難しいとされていました。



この理由は VDI 上で Skype を使うことをイメージすると分かると思います。
カメラやマイクは手元(オフィス側)にあるのに対し、アプリはリモート(データセンター側)の仮想マシン上で動いているためです。
これは「ヘアピン現象」と呼ばれているもので、同じ建物内でちょっと内線通話をするだけでも、サイズの大きい音声データがデータセンターまで無意味に流れ、WAN やネットワークを食い潰してしまいます。
無駄に迂回するため、昔の国際電話のような遅延も生じますし、仮想デスクトップの CPU もかなり消費します。ビデオ会議は見れたものではありません。



Microsoft Lync VDI 2013 Plug-In

といっても、お客様の視点に立てば「プロジェクトを任されたからには妥協したくない!両立したい!」という気持ちは強いものです。
これまではどちらかに妥協いただきましたが、UC 製品で一番メジャーな Microsoft Lync が VDI に対応するテクノロジー Microsoft Lync VDI 2013 Plug-In」を提供したことで、今後は両立が可能になります。

Microsoft Download Center - Microsoft Lync VDI 2013 Plug-In
http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=35457


Microsoft Lync VDI 2013 Plug-In は、VDI の仮想デスクトップで Lync による音声電話やビデオ会議を行う際、転送量の大きい音声・動画データをデータセンターに流しません。普通の PC で Lync を使うのと同様に、オフィス側の シンクライアント端末同士で自律的に P2P 通信してくれる、無償のプラグインツール です。



図からも分かるとおり、端末間 Peer-to-Peer ですので音声や動画データが無駄な迂回をしません。そして、最も優れているのは「ユーザーは何も意識しなくて良い」というところです。

Plug-in はアクセス元の端末にインストールしますが、Lync 本体は通常どおり仮想デスクトップへインストールします。ユーザーはフルスクリーン表示した仮想デスクトップ内で普段どおりに Lync を使えば良く、重いデータは自動的に Peer-to-Peer に切り替えて転送してくれます。

少し技術的に書けば、ビデオ会議の場合、枠だけが画面転送され、シンクライアント側で P2P された動画データをマージします(ハメコミ合成)。もちろん、Lync は仮想デスクトップ側にインストールするので、他の Office 製品との連携も問題ありませんし、転送量の小さい文字チャットは P2P しません。


次回 は、この Plug-in に対応する VDI 製品や、設定手順について紹介します。


追記:
Interop では SR-IOV のように、仮想スイッチを使わず vSphere vMotion に対応するための標準規格 (VEPA) に対応したソフトウェアスイッチも展示するそうです。


※ 今回の画像はすべて Microsoft 資料より引用させていただきました

*1:当初2回の予定でしたが、第2回が長文過ぎてエラーになったので全3回になりました