仮想化でプリセールスしてるSEの一日

VMware から Azure まで、インフラや仮想化の最新情報をベンダー色をできるだけ抑えて綴っていきます

VCB Proxy はマルチパス禁止?

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一昨日の記事 に続き、"当たり前にできそうでできない" 仮想化ネタです。


タイトルの通りですが、VMware 社は VCB (VMware Consolidated Backup) でバックアップサーバー側に配備する VCB Proxy に対して、
FibreChannel や iSCSI パスを冗長化(マルチパス化)することは、親会社の EMC PowerPath (32-bit) 利用時以外サポートしていません。


EMC 以外のストレージベンダーは?

じゃあ、HP や IBM, NetApp といったストレージだとパスを二重化できないのかというと、EMC 以外のベンダーの場合はストレージベンダーが独自にサポートしています。
(下記 KB 上では、EMC 以外に * 印がついています)

Support for VMware Consolidated Backup (VCB) and multipath software
http://kb.vmware.com/kb/1007479

Windows Server 2008 より OS 標準となっている Microsoft MPIO は NG ?

上記 KB では、各社ともベンダー製 MPIO の情報しか言及されていませんが、Windows Server 2008 では Microsoft MPIO が OS 標準として実装されており、こちらの利用を推奨しているベンダーも増えています。

結論から言うと、MS MPIO は VCB Proxy 上では利用してはいけないと言われています。
理由は下記の通りです。

  • VMware ESX/ESXi Native MPIO:
    複数パスの制御権を ストレージ側 が担います。
  • 一般的なベンダー製 MPIO:
    複数パスの制御権を ストレージ側 が担います。


ESX の MPIO はストレージ (LUN) 側が制御します。一般的なベンダー製 MPIO もストレージ側です。つまり、この組合せはどちらもストレージ側に任せますので問題ありません。
しかし、MS MPIO を利用すると、ESX がストレージに制御させている中で、同じ LUN に対して Windows 側も制御しようとします。この結果、制御権の奪い合いになり、アクセス不可などのコンフリクトが生じるのです。


vStorage APIs for Data Protection (VADP) の場合は?

VMware 社は ESX を現バージョン (4.1) で開発終了するアナウンスをしましたが、VCB についても 現バージョンで終息 します。

後継は 4.0 から実装された vStorage APIs for Data Protection (VADP) になりますが、VMware 社のエンジニアの話では、VADP についてはマルチパスの制約は今のところ特に無いそうです。