仮想化でプリセールスしてるSEの一日

VMware から Azure まで、インフラや仮想化の最新情報をベンダー色をできるだけ抑えて綴っていきます

Azure Backup で VMware 仮想マシンのクラウドバックアップ構築手順 (1)

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今回の記事は「vExperts Advent Calendar 2016」と連動しています。
せっかくクリスマスイブを陣取りましたので、私の得意とする二分野「Microsoft × VMware」の最新技術について書きたいと思います。

この2社、以前は真正面からのライバルでしたが、最近は少しベクトルがズレてきているのはご承知のとおり。Microsoft は自社の Azure クラウドサービスを重視していますし、VMware はオンプレ重視、クラウドについてはマルチクラウド戦略です。ここで、両社がコンフリクトしない 1 つのソリューションがあります。
クラウドバックアップ」 です。



2016 年 11 月より Azure Backup Server に対応

正確というと、この VMware to Azure Backup は 今夏から実現できていました。

ではなぜ先月からかというと、System Center DPM が無くとも、ライセンス無償の Azure Backup Server (MABS) に対応し、懐の面でもスキルの面でもお手軽になった のです。

Microsoft TechNet - Azure Backup Server で VMware のバックアップが可能に
https://blogs.technet.microsoft.com/jpitpro/2016/12/07/announcing-vmware-backup-with-azure-backup-server/


しかも、このバックアップソフト(MABS)が結構優秀。
VMware のバックアップには NetBackup や Veeam などと同じく vSphere Storage API - Data Protection、つまり「VADP APIがしっかり使われており、機能・静止点保護・エージェントレスなどいくつもの点で VMware ユーザーが納得のいく出来になっています。


MABS バックアップサーバーの準備

バックアップサーバーとなる Windows Server マシンを 1 台用意します*1
仮想マシンでも構いません。スペックはさほど要求しませんが、Azure へ送る際の一時領域を持ちますので、ストレージ容量はそれなりには必要です*2
また、このマシンは Azure に送るための インターネット接続 (HTTPS) と .Net Framework 3.5 を事前セットアップしておく必要があります。


MABS バックアップサーバーのセットアップ

では、セットアップを始めてみましょう。簡単なのでコツだけ明記します。

Azure ポータルにアクセスし、Recovery Service コンテナを作成します。


バックアップのはじめてウィザードを立ち上げ、
上記のとおり「オンプレミス」VMware 仮想マシンを選択

下記の画面で、MABS のインストーラー(約 3 GB)と Azure 側のコンテナ情報ファイルをダウンロードしてください


準備が完了したら MABS のインストーラーを実行します。
最初は解凍ウィザードが、その後セットアップウィザードが起動するはずです。

途中、資格情報コンテナファイルをインストールする画面があり、これを実施することで Azure 側との接続が完了します。


下図はインストールが完了画面です。


デスクトップに置かれたアイコンを実行すると、
MABS バックアップツールの管理画面が表示されます。


ディスクのフォーマット

未割当の空 LUN を MABS に追加して一時領域として利用できるようにします。
「管理」画面の右メニューより「ディスク」をクリックし、
メニューバーの一番左にある「追加」アイコンをクリックしてください。



正常に追加すると、ディスクの部分に空き容量を示す円グラフが表示されます。




アイコンも画面もなんだか SCDPM っぽい??

そう。MABS は SCDPM2012 のエンジンをそのまま移植しているため、いわゆる「日次」「週次」といったスケジュールバックアップはもちろん、差分といったバックアップソフト的な機能はそのまま実装されています。
長くなったので、このあたりはまた明日

*1:現時点では Windows Server 2016 は SIS が削除されているために非対応です

*2:バックアップ対象容量の 1.5 倍が目安。OS 領域とデータ領域で LUN を分けてください