仮想化でプリセールスしてるSEの一日

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VMware View の PCoIP プロトコルを Citrix ICA 相当にする設定方法 (2)

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前回 のとおり、PCoIP はワークステーション業務用に生まれた由来から、既定の画質や音質チューニングが業務用レベルになってしまっています。
VDI のような PC (OA) 用途で利用する程度であれば、ここまでの品質は必要ないので、消費帯域を減らす方向に設定してあげましょう。

グループポリシー (GPO) による設定が基本

設定箇所は、接続先である View Agent のレジストリにあるのですが、
選択肢や単位を把握していない状態(Byte なのか bit なのか 16進数 なのか...)でレジストリを直接編集するのは危険なので、GPO を利用して GUI 編集しましょう。

View Manager のインストールディレクトリに格納されている、下記の GPO 管理テンプレートをインポートします。

  • pcoip.adm
  • vdm_agent.adm
  • vdm_client.adm
  • vdm_common.adm
  • vdm_server.adm


インポートすると、GPO エディタに「PCoIP Session Variables」という項目が追加されます。これが、PCoIP 関連の設定です。


(クリックして拡大可能です)


画像のとおり設定項目は 20 個弱あり、色々と調整できるのですが、今回は Citrix ICA 相当にすることが目的ですので、最低限の設定箇所を紹介します。
この表の「ICA 相当」は私個人の感覚です。

画質関連

設定内容GPO 設定パス既定値ICA 相当
フレームレートConfigure PCoIP image quality levels
> Maximum Frame Rate value:
304 - 8
プログレッシブ時の最大画質Configure PCoIP image quality levels
> Maximum initial Image Quality value:
9050 - 70
最低画質Configure PCoIP image quality levels
> Minimum Image Quality value:
5030 - 50

音質関連

設定内容GPO 設定パス既定値ICA 相当
音声の圧縮ビットレートConfigure PCoIP image quality levels
> Maximum Frame Rate value:
50050 - 90
音声出力の有無
(不要な場合は on に)
Configure the PCoIP session audio bandwidth limit
> Set audio BW limit in kilobits per second to:
offoff


設定例:

(クリックして拡大可能です)

ユーザー個別に設定したい場合は?

「外勤の方はモバイル利用が多いので消費帯域を少なく」とか「内勤の方はデスク作業のため高精細で」といったように、ユーザーや部署によって設定値を変えたいといったケースも多く見受けられます。
このような場合、GPO を OU 単位で設定したり、必要に応じて「フィルタ」を掛けることで適用ユーザーやグループを適宜絞ることが可能です。
より個別に、細かく設定したい場合は、Remote Registry サービスや管理ツールを利用して、対象者のレジストリに直接書いてしまう方法もあります。


なお、設定の反映は、ユーザーが次回 PCoIP セッションを張った際になります。
GPO で設定する場合は、自動反映に遅延がありますので混乱しないようご注意ください。テストや検証時は、gpupdate で強制反映させると良いと思います。

これで PCoIP も ICA と同じくらいに(2011.7.21追記)

ここでの設定を行うことで、少なくともユーザーの見た目の画質やレスポンス・消費帯域については PCoIP でも ICA と同等になります。したがって、今後は操作レスポンス(サクサク感)や消費帯域から Citrix 社製品を選択する必要は無さそうです。
しかし、Citrix ICA の魅力はレスポンスや帯域だけではありません。
最近は「HDX〜」という名称でリモート環境での VoIP をサポートしたり (HDX RealTime)、一部先進的な技術も搭載しています。
VDI と共に導入の進んでいる IP フォンについて、ハードフォンではなく、ソフトフォンを採用する場合は、HDX RealTime の検討も視野に入れる必要があるかもしれません。但し、リアルタイム双方向音声は帯域を大幅に消費しますし、遅延もあるため導入前検証は必須です。